その運動、実は身体を老けさせている?

その運動、実は身体を老けさせている?

みなさんも一度は健康のためにと運動を始めたことがあるのではないでしょうか?
特に今回の新型コロナウイルス感染拡大による新しい生活様式では、その意識がさらに強くなった方も多いようです。そんな中、一人でもできるランニングや筋トレなど、世間は運動ブームです。
実はその運動があなたの身体をサビさせ、老化させていることを知っていますか?

身体がサビる老化とは?

一般的には健康のために良いとされている運動ですが、実は逆の効果を身体に及ぼす場合があるのです。
それは、体内を内側からサビさせ老化させる活性酸素です。
私たちは普段無意識に呼吸を繰り返し、特にランニングやスポーツとなると、更に大量の酸素を取り込んでいます。この酸素があるからこそ私たちは動くことができるのです。そもそも酸素が便利なのは、一度にたくさんのエネルギーを作り出せることです。筋肉や細胞のエネルギー源となっているのはATP(アデノシン三リン酸)という化学物質。身体の二大エネルギー源は酸素と脂質と言われていますが、酸素と脂質はこのATPを作るために使われています。酸素がないと糖質からたった2個のATPしか作れないところ、酸素を介して脂質を代謝すると36個ものATPが生み出せるのです。

便利な反面、酸素は酸化を起こしやすいとされています。酸化とは、物質から電子を奪う反応。元素の最小単位である原子は原子核と電子からなり、電子を奪われた側はダメージを負います。雨ざらしの放置自転車がサビたり、古い十円玉が緑青で覆われたりするのも、酸素による酸化の仕業です。加えて、酸素は体内で遥かに酸化力が高いものに変化します。これが「活性酸素」です。

活性酸素とは、体内に侵入した細菌やウイルスの攻撃から身体を守ってくれる大事な物質です。しかし酸化力が非常に強いため、過剰に発生しすぎると、出会ったタンパク質や脂質を片っ端から酸化し、細胞や組織をサビた釘のようにボロボロにしていきます。大事な脳も心臓も筋肉も、突き詰めると細胞の集まり。人体は約37兆個ともいわれる細胞からなります。酸化が怖いのは、この細胞一つひとつを傷つけることです。
この酸化ストレスにより、肌のしわやたるみといった表面的なことだけでなく、免疫力の低下、動脈硬化やがんなど身体の内側からの病気にもつながると言われています。

運動から活性酸素が発生するメカニズム

活性酸素は常に体内で生まれています。呼吸により取り入れた酸素の2%ほどが活性酸素に変化します。それ以外にも紫外線、放射線、排気ガス、食事、肉体的・精神的ストレス、過激な運動などからも生まれます。
心肺機能を高めるランニングやエアロビなど、息の上がるような有酸素運動は活性酸素の発生を促進させています。有酸素運動はコルチゾール(ストレスホルモン)値を上昇させます。それにより炎症が起こり、加齢が加速していきます。コルチゾール値が高まると、体内の酸化物質の量が増加し、この酸化物質が、脳、心臓、消化管、その他の器官の炎症を増大させることがわかっています。

2010年に300人以上の持久性運動の選手(長距離走者、トライアスロン選手、自転車競技者)のコルチゾール値を調べ、非アスリート対照群と比較した研究があります。その結果として、有酸素運動競技者のコルチゾール値は対照群よりもかなり高く、この値の高さとトレーニング量の多さに明確な相関関係が認められています。研究者は次のように結論づけています。

「以上のデータは、持久性アスリートが繰り返し行う集中トレーニングや競技のストレスが、長時間にわたる高濃度のコルチゾール曝露と関連があることを示している。2011年の研究では、健康で活動的な男子大学生に対する自転車こぎの影響を調べた結果、コルチゾール値と炎症マーカーがかなり増大することがわかった。心疾患、癌、糖尿病、アルツハイマー病など、命にかかわる病気の多くの根底には慢性の炎症が存在するからだ。結びつきがもっと明確なデメリットは、頭脳の明晰さとエネルギーの低下である。」

さらに、有酸素トレーニング中は呼吸数が増して酸素が豊富な体内環境となり、それに反応するかたちで体内に活性酸素が生成され、酸化ストレスを生み出し、身体のダメージを修復してくれる抗酸化物質を激減させてしまいます。過度の有酸素運動が酸化ストレスを引き起こすというのはすでに定説であるようです。また筋トレなどによる筋肉痛も、乳酸が溜まった筋肉の治癒のために活性酸素を作り出しているのです。
アスリートは寿命が短いと言いますが、こういったことから言われているのでしょう。

運動とは別物のヨガ、ピラティス、クラムる

資格保持者でもあるテニスの伊達公子さんは「ハードなテニスの練習のあとに、選手皆でピラティスを受けると筋肉痛が治る」と言っています。つまり、乳酸などの炎症状態、酸化状態を中和させることがピラティスにはできるわけです。
ヨガやピラティスは深部のインナーマッスルから動かし、長く伸びたスペースのある背骨を作り、脊椎の神経伝達の状態を整えるものであり、身体を内側の内臓や神経から整え活性化していくものです。そのため、筋力増加や心肺機能向上を目的とした運動とは全く違うものなのです。
内側から若々しく、サビない身体作りをヨガ、ピラティス、クラムるではじめませんか?