背骨について

超時短プログラム『クラムる』5つのベネフィット

体の中心にある背骨は私たちの体において、どうして大切なのでしょう。

この地球上で生活していく上で欠くことのできない重力との関係から見て行きましょう。

ヒトは数百万年の進化の過程で四足から二足歩行になるに従って、その形を変化させてきました。
その中で、背骨は「脊柱」というように、大黒柱のように体の中心を通り、私たちの体を支えています。上体と骨盤を介して下肢をつなげ、重力に対して真っ直ぐに体を立ち上げ姿勢を維持します。また、立ち上がり、手を使えるようになることで発達した脳を支え、衝撃から守るようにできています。
正面からはまっすぐな背骨は、横から見るとS字状のカーブを作ることで、体重を分散し、動いたときの衝撃を和らげます。一つ一つの脊椎がそれぞれの役割に適した構造を有し、そこに多くの筋肉や靭帯が精巧に組み合わされることで、体が持つテンセグリティシステムの一部として機能しています。安定性と可動性の両面を備えたこの見事な背骨があるおかげで、私たちの体は全体性を持って自由に動くことができるのです。つまり、背骨はこの安定性と可動性、この相反する機能をバランスよく備えていることが大切になるのです。

姿勢がバランス良く保てれば、姿勢維持のためのエネルギーも最小限ですみ、体の他の部分にも余分な負担がかかりません。
同様に、可動性が高く、椎骨が連動して滑らかに適切に動かせることで、部分的に過度な負担がかかることなく動けます。これによって、日常生活も、またアスリートのようなパフォーマンスも効率よくできるようになります。どこか一部に動かないところがあるとか、連動性が悪い、不安定などの不具合があると、関連する周囲に過度の負担がかかりそこに代償や損傷の原因となり得ます。例えば、胸椎の固さはそこにつながる頚椎や腰部の痛みや損傷を引き起こすこともあります。腰椎が安定しなければ、股関節の機能的な動きは作り出せず、腰部の痛みや損傷につながることもあります。適切な可動性と安定性が必要です。

良い姿勢は体の内側にある内臓の位置を整え、またその活動も促すため、内臓の働きが活発になります。呼吸も深くなり、循環が良くなり、また腸の働きも活発になります。栄養の吸収、排泄といった本来の機能が良くなり、また免疫細胞の7割を産生する腸が活性化するので、体本来が有する自然治癒力が上がります。

姿勢は精神面にも影響を与えます。背筋を丸めていると、物理的にも内臓が圧迫され、胃腸の働きが低下しやすくなります。また、胸部が圧迫されると呼吸が浅くなり、精神的にも気持ちが沈んでくるなど精神面にも影響を与えます。逆に落ち込んでいる時に胸を張っていい姿勢にはなれませんね。

背骨のもう一つの大きな働きは、脊柱管を形成して脊髄を保護していることです。脊髄は神経の束で脳と身体の間の情報伝達の要となります。
末梢での「熱い」、「冷たい」などの感覚情報は感覚神経を通じて脳に伝達されます。それを元に判断された命令は脳から運動神経を通して末梢に送られ、「動き」が作られます。
身を守るために瞬時に判断が必要なものは、感覚神経からの情報が脳を介さず脊髄で判断され、「脊髄反射」として現れます。

また、脊髄の周りには脳脊髄液が流れ、さらに血管や神経が網目のように張り巡らされています。
背骨が柔軟であるということは、血管も柔軟に動かすことになり、全身の血流を上げることにもなります。 頚椎では頸動脈が頚椎の中を通り、脳への血流を保護しているし、大動脈、大静脈といった大きな血管は身体の深部で背骨に保護されるように並走している。つまり、脊柱は脳神経からの情報伝達機能とともに脳をはじめとする栄養補給経路を守ってもいるのです。

脊髄の働きの一つに自律神経の交感神経、副交感神経と繋がって、内臓と背骨を連携させる、ことがあります。自律神経は呼吸、血液循環、消化、排泄などに関わり、それぞれに拮抗する働きを持ち、自律的に内臓の働きをコントロールしています。そのため、胃腸の不調が胸椎によることもあるのです。逆に胃腸の調子を整えることで、関連する胸椎の痛みが柔らいだりします。
脊髄を損傷すると、運動神経状の問題だけでなく、自律神経、体内のモニタリングと調整機能に障害を受けることがあるのは、こういうわけです。
この大切な脊髄を守っている脊柱は 生命維持に深く関わっている、と言えます。

生命維持、健康上忘れてならないのが、呼吸との関係です。
呼吸は自律神経との関わりが深く、肋骨や背骨自体の変形が原因となって呼吸が浅くなると、自律神経が乱れ、緊張や体内循環不良、むくみなど心身ともに不調になります。もちろん脊髄は自律神経に関わっていますが、身体構造上の面でも脊柱の影響があります。
呼吸に主として使われる横隔膜は背骨に付着しています。他に使われる肋間筋、斜角筋、大胸筋などは背骨につながる肋骨に付着しています。従って、呼吸によって背骨も連動して動いているのです。背骨の形だけでなく、その可動性、柔軟性も呼吸にも影響するのです。